就労ビザをもつ外国人の、新人研修での現場OJTについて
新人研修での現場OJT
【Q】弊社ではこの度、本社で国際業務に従事し将来の幹部候補として育成
する予定の留学生の採用を検討しています。
留学生を採用後は、他の日本人採用者と同様に新人研修に参加させる
予定ですが、その研修にはいわゆる単純労働を含む工場での就労体験
が含まれております。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得者はこれら単純労働を
することができないと認識していますが、一方で将来の幹部候補には
現場を知ってほしいという会社としての強いニーズがあります。
どうにかならないでしょうか?
【A】アルファサポート行政書士事務所がご回答します。
例えば、大手自動車会社が国際業務を担当する人材を雇用した場合に、
新人研修の一環として工場の現場を体験させることや、レストラン事
業を展開する会社が海外からの食材輸入担当者を採用した場合に、新
人研修の一環としてレストランで接客や棚卸などを経験させることは、
これら業務は本来、技術・人文知識・国際業務の在留資格では行うこ
とができない活動ではあるものの、一般論としては業務習熟に必要な
研修として認められる傾向にあります。
現場を知らない頭でっかちの人材では本当に有能な幹部候補には育た
ないはずですので、現場における研修の必要性は国(=入国管理局)
も理解しています。
一方で、現場での仕事が採用当初にとどまらずに在留期間の大半を占
める場合には不法就労と認定される可能性が高く、企業側は不法就労
助長罪を問われることとなりますので慎重さが必要です。
現場で安い労働力として使うことが本来の目的でありながら、新人研
修ですと抗弁してみても通るものではありません。
この趣旨からすれば、技術・人文知識・国際業務ビザの1年の在留期
間を許可された採用者に、1年の現場業務を体験させることはできな
いものと考えられます。
■この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:就労ビザ、特定技能ビザほか多数。
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